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20110106_Suarez.jpgSuarezの人種差別発言問題。

FAが12月31日に115ページに渡る独立規律委員会の報告書を公開し、Liverpoolは今回の裁定に「納得はしないながらも上訴はしない」結論を出して一応の幕を引きました。
115ページに渡る報告書は事件当日のゴールマウスの中でのやりとりや試合後の審判ルームでのやりとり、そしてその後の公聴会等の内容が克明に記されており、実際に当事者や関係者の口からどういうことが語られていたのかがよく分かりました。
結果的にはSuarez側の主張は「矛盾が見られる」とのことで退かれ、Evra側の証言をもとに裁定に至ったことも分かりました。


今回の問題は非常にデリケートで、僕は努めて第三者的な目線で見たいと思っていました。

いくら自分が応援するLiverpoolの選手であるとは言え、間違った行動をしたのであればそれを「無実だ」と言うことは出来ないし、実際に何が問題でどういう結論が下ったのかという事実が分からない限りはSuarezをサポートすることは正しくないと考えていました。
そして"You'll Never Walk Alone"を合言葉にSuarez擁護のポジションを取るサポーターに恐ろしさのようなものも感じました。

またSuarezに人種差別の意図があったかどうかは別にして、彼が「"negro"と言った」と認めたのであればそこに非はあり、謝罪すべきだと考えていました。
 

試合中の人種差別発言はその検証が非常に難しいと思います。
ビデオやその音声でハッキリと発言を拾えているのであれば簡単ですが、往々にしてそういった証拠が得られない中での裁定をしなければならないでしょう。
証拠が無いから無罪と言ってしまっては逆に人種差別発言を撲滅することも出来ません。

当事者および関係者の供述によって判断せざるを得ない状況は今回に限らず今後も続くでしょう。


それゆえに検証は極めて慎重に行われなければならないと思いますが、残念ながら115ページの報告書を読んだ中では検証が足りなかったと思わざるを得ませんでした。

先に述べた通り今回の裁定は、Suarez側の主張が「矛盾が見られる」という理由で退けられました。
Kuyt、Comolli、Suarezの証言の食い違いがそれにあたりますが、レポートを読む限り僕には英語、スペイン語の翻訳上の壁があったように思え、Suarez側の主張を退けるには不十分だったように感じました。

その点においては独立規律委員会の決定に非常に落胆しました。






そして何より今回のクラブの一連の行動は僕にとっては非常に残念なものでした。

あの事件が起こった後、Suarezから「"negro"という言葉を使ってしまった」という事実を聞き出していたにも関わらず、なぜすぐ公式に謝罪せず 「Suarezは人種差別的な意味合いで使ったワケでは無いのだから無実だ」などという声明を出す行動に踏み切ってしまったのか。

Suarezの家庭環境を公にしてまで無実を訴えることが、クラブやSuarez自身にとって何の価値をもたらしていたのか…。


さらに1月3日に出されたLiverpoolの声明にも落胆しました。

最後の言葉は
「このまま正義の戦いを続けていても、それは各団体のイングランドフットボールにおける人種差別への取り組みに対し、クラブが協調しているという事実を曖 昧にしてしまうだけだ。Suarezの事件はこれで終わりにして、これからはスポーツ内外の人種差別根絶に向けて協力し、前進していく時だ」
という意味合いで締めくくられていました。

正直「振り上げた拳の収めどころを作るために、大義を作り上げてしまった」ようにしか僕には見えませんでした。


そしてこの声明が出されたタイミングはCity戦の直前。
City戦からの8試合消化で上手く行けば(Oldham戦を勝ち上がれば)Tottenham戦には出場出来る計算です。これは考えすぎかも知れませんが、クラブにその計算が働いたのであれば非常に残念に思います。


これが正しい結末なのでしょうか?

人種差別根絶への協力はもちろん極めて重要なことですが、今回の結末が「間違った裁き」だと本気で思っているのであれば、たとえ法廷での争いに発展しようとも最後まで戦い抜いて欲しかったです。
そうでなければ人種差別根絶は、まさに「魔女狩り」と化してしまうでしょう。




1月5日、Suarezから公式HPを通して謝罪文が公表されました。
メディアには「これはEvraに対する謝罪ではない」と糾弾されていますが、「自分の一言が誰かを傷付けるのであれば謝罪したい。これからは改める」との意思を示してくれたのだからそれで十分だと僕は思います。
後はしっかりと反省すべきところは反省し、また素晴らしいプレーを見せてくれればと思います。

しかし罪を償い終えて戻って来る彼には新たなレッテルが貼られ、対戦相手のサポーターからは容赦ない罵声を浴び続けることになるでしょう。
そして今すでに始まっているメディアによるSuarez叩き…。


今回の裁定を受けて、現時点でクラブからの謝罪はありません。
彼らがSuarezの犯した過ちを認め「その根本は自らの選手に対する指導にあった。今後の指導を見直す」と言えば、今起こっているような結末は迎えずに済んだのではないかと思います。

結局クラブが守りたかったのは何だったのか…。

果たしてクラブは復帰後のSuarezを守り続けることが出来るのでしょうか?
Suarezを一番傷付けるのは、実はLiverpool自身なのかも知れません…。
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無題
本当の擁護とはかばうことだけではないんですよね。ときには選手の非を認め、受け入れることが必要だと思います。今回、その姿勢が見られなかったのは残念でした

もっとも、FAやメディアの対応がひどかったのは事実です。とくにFAは2カ月も何をやっていたのでしょうか。フルハム戦の選手の抗議の件といい、ますます信用できなくなりましたww







ジェラード炎 さん 2012/01/06(Fri)22:19:42 Edit
ジェラード炎さん
コメントありがとうございます。

ここまで時間が掛かったことに僕も当初不満を感じていましたが、今回の報告書で10月15日以降の動きが時系列で書かれていたのを見て納得しました。

最短では無かったのかも知れませんが、ある程度必要な日数だったと今は感じますネ。
[ from Rush : 2012/01/06 23:45 ]
無題
もう少し書かせてくださいww

FAの対応やメディアによってクラブ自体もかなり追い込まれていたように思います。その中で最後まで戦い抜くことは不可能だったと思います。

今回の件で被害をうけたのはリヴァプールも同じです。そもそも、スアレスが発言していなければこんなことにはならなかったわけで。スアレスを傷つけたのはクラブではなく彼自身だと思います

クラブの対応がいまいちだったのは認めますが、スアレスを傷つけたとまでは言えないんじゃないでしょうか

ジェラード炎 さん 2012/01/06(Fri)22:38:08 Edit
ジェラード炎さん
再コメントありがとうございます。

今回の件に関して、もし事前に選手の教育をしていなかったのだとすれば、クラブ側の責任は重いと僕は見ています。
そうでないことを強く願っていますが…。
クラブが被害者だとは全く感じませんし、仮に被害者意識を持ってしまうようであれば外国人選手を受け入れる資質が無いのだと思います。

ましてやSuarezが「差別的な意図は全くなかった」と言っている中では自業自得のような結論は僕には出せません。
逆にクラブは結果的に自らの首を締めることになったと思います。


また誤解を招いてしまったようですが、現時点で「クラブがSuarezを傷つけた」とは思っていません。
今後の彼に対するフォローと対外的なケジメの付け方次第で「傷つけることになるかも知れない」と言うことです。
クラブは復帰してくる彼をどんなことをしても守ってあげて欲しいですネ。
本文中の僕の言葉が少し足りなかったようで申し訳ありませんでした。
[ from Rush : 2012/01/06 23:49 ]
-
初めまして。
私はリバプール在住で正月の間日本に帰ってるんですが、現地では何の確証も得る前からスアレスバッシングが凄かったです。一体どうしてそこまで決め付けられるんだってくらいスアレスのことをめちゃくちゃ言っていました。とにかくこういう話題やゴシップが好きな国ですからね・・・
世論がスアレス『悪』とはっきりしてたのでFAもなかなかスアレスに有利な裁定を下しにくかったってのも多少あるかもしれません。

それとクラブがスアレスを盲目的に擁護するのも前途の理由からしょうがなかったっと思います。スアレス自身はひょうひょうとしてるように見えますが個人攻撃があまりにもひどかったので、あの状況で孤立させてしまうと、どんな人間でもつぶれてしまうと思います。
クラブは今回の裁定を受け入れましたが、FAの裁定が出てからはメディアのバッシングは更にひどいものになってたので、いたずらに先延ばしにするよりも一刻も早く沈静化させるためかもしれません。
今回の件は誰の目から見ても調査不足ですし、クラブもスアレス本人も本心としては上訴したいんじゃないかと思います。

長々と失礼しました
アロンソ さん 2012/01/07(Sat)11:49:07 Edit
アロンソさん
コメントありがとうございます。

今回の件は本当に大きな問題となっていますネ。
日本でもこれだけ騒がれているんですから、現地は本当に凄いのでしょうネ。


アロンソさんのコメントから「Suarezを盲目的に擁護しなければ彼を孤立させることになる」と仰っているように捉えました。
しかしSuarezを盲目的に擁護した結果、Suarezとクラブの双方が強烈な批判に晒されることになり、それぞれが「寄り添う樹」を失ってしまったのではないかと思います。まぁクラブがSuarezにすがるワケには行きませんけどネ(苦笑)


また今回のバッシングの鎮静化をするために早い幕引きを図ったとすれば、タイミングとしては遅かったと僕は思います。
12月16日のFAからのSuarez有罪確定の声明に対する12月20日のLiverpoolの声明、そして12月31日の独立規律委員会の報告書に対する1月3日のLiverpoolの声明は、双方ともに火に油を注いだだけに終わったのではないでしょうか?
2つのLiverpoolの声明を出した直後の現地の反応はいかがでしたでしょうか?

改めて今回の事件を時系列に追ってみましたが、12月20日にLiverpoolが出した声明によって彼らはすでに引き返すことの出来ない道を進み始めていたのだと僕は感じました。

Suarezは2月に戻って来ます。間違いなく容赦ないバッシングに晒されるでしょう。
その時にLiverpoolには何が出来るでしょうか?
打つ手は全て失われているように今は思います。
[ from Rush : 2012/01/07 21:04 ]
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Liverpoolをさりげなく愛しています。
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