Suarez処分決定

Suarezの人種差別発言問題について結論が出ました。
結果はやはり有罪で、処分内容についても正式に発表されました。

Suarezやクラブの姿勢については以前から繰り返しこの場で述べて来ましたので、今回はFAやクラブのステートメント、そして処分内容に対する感想等を書いておくことにします。


FAのステートメント。
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独立規律委員会は今日(2011年12月20日火曜日)、Luis Suarezの行いに対して不正行為の処分を下すに至り、8試合の出場停止ならびに40,000ポンドの罰金を科すこととした。控訴については係属中である。

2011年11月16日、FAは2011年10月15日のLiverpool対Manchester Unitedの試合に関してFA規則E条3項に反する不正行為があったとしてLuis Suarezを告発した。
FAの独立規律委員会が処分を検討する前の2011年12月14日から20日に渡り公聴会を開催した。

独立規律委員会2011年12月20日、その結論を発表した。
その内容は次の通り。

 

1. Luis Suarez氏は試合中Evra氏に対し、FA規則E条3項1号に反して侮辱的な言葉を使った
2. Suarez氏によって使用された侮辱的な言葉は、規則E条3項2項に意図されるEvra氏の肌の色に対する言及を含む
3．Suarez氏は彼の将来の行動に対して、ファーストチームがカバーする全ての大会に対する8試合の出場停止ならびに計40,000ポンドの罰金を受けることで警告を受けなければならない
4．「処分の執行」は、この裁定に対してSuarez氏の控訴による結論が下されるまで一時的に停止される


独立規律委員会はこの裁定に対する根拠を、提供するに適した時期に書面により提供する。

(a) 事実認定はそれによって行われたこと
(b) 処分を下すこの裁定に対する根拠　および
(c) 処分の理由

Suarez氏は独立規律委員会の裁定に対して上訴委員会へ控訴する権利を有している。控訴はこの裁定に対する書面による根拠が示された日から14日以内に行われなければならない。
処分は控訴による結論が出るまで、または控訴期間が終了するまで、またはSuarez氏が控訴しない決定をするまで一時的に停止される。
この理由は、Suarez氏は控訴するのに有効な権利を有するために、控訴の前に処分が有効となっていないことを確認するためである。

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FAのステートメントで出て来た規則E条3項については次の通り。
法律の日本語訳は難解ですが大筋だけでも理解して頂ければ幸いです。
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E 行動

(中略)

一般的行動

3 (1)関係者は常に競技における最善の利益のために行動するものとし、かつ不適切もしくは競技の評価を貶める行動のいずれかもしくはその双方、又は暴力行為、悪質なファウル、脅迫的、虐待的、猥褻的、侮辱的な言葉もしくは行動をとってはならないものとする。


(2)人の民族的出自、色、人種、国籍、信仰、性別、性的志向もしくは障害(「悪化因子」)を含む規則E条3項1号のいずれかを違反した場合、規律委員会は処分を課すことを検討する。

(以下略)

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ちなみにこのFA規則E条3項と言えば、2009年8月16日のTottenham戦でのPK判定を巡って不満を述べていたBenitezも同規則違反で処分を受けました。
と言っても当時は「警告」止まりでベンチ入り禁止等の処分にはならなかったのですが…。

今回、8試合出場停止＋罰金40,000ポンドという処分が下りましたが、その量刑判断がどういう基準で行われたのかは分かりません。
個人的には(勝手に)6試合程度と見込んでいたのでかなり重い気がしますがどうでしょう？

ChelseaのTerryも人種差別問題で調査中とのことですから、彼の量刑との比較もしてみたいですネ。



そしてSuarezの処分発表を受けたLiverpoolのステートメント。
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Liverpool Football ClubはFA委員会のLuis Suarezに対する告発を有罪と判断したことについて非常に驚き、落胆している

我々は委員会の裁定の発表に期待していた。我々は委員会が一時有効と見なした詳細な理由について調査をする。しかし我々が上告する権利や別の手法を取る権利を残していることは、今回の問題の解決に関して適切だと感じている。

我々はフィールドでプレーする者(Evraのチームメイトやマッチ・オフィシャル全員を含む)の中で、コーナーキックがこれから始まろうとする時に、観客の集まったKop側のゴールマウスの中での2選手間に主張された会話を聞いた者が誰もいない状況で、Patrice Evra1人の証言でLuisが有罪となり得るということを異常だと考えている。

クラブはあらゆる差別との戦いに極めて真剣に取り組んでおり、反人種差別主義や社会的共生に関連する活動において長期間に渡る成功を収めている実績がある。
我々はこの理想と個人の経歴に関わらない全ての平等に対する責務を果たし続けている。

LFCは妥協することなくあらゆる人種差別を容認しないことを考えている。
それは我々の強い信念であり、Luis Suarezがいかなる人種差別的行為をしていないという事実を再確認している。またこの特定の選手による告発では、信憑性が無いというのが我々の見解である。間違いなく彼の以前の根拠のない告発は信頼するに値しない。

今回の供述書の中でPatrice Evra自身が「Luis Suarezが人種差別主義者であるとは思わない」と述べている点に注目することがカギとなる。FAは自身の最初の言葉で「Luis Suarezは人種差別主義者では無かった」と認めていたのだ。

Luis自身、祖父が黒人という混血の家族を持っている背景がある。彼は2010年World Cup以来、個人的に慈善事業にも参加して来た。それは肌の色は問題では無いという中心テーマを持ち、異なる背景を抱える人々同士の連帯を促進するためにスポーツを用いた事業だ。彼らは全員がチームとしてプレー出来ている。

彼はウルグアイ代表やAjax Amsterdamのチームキャプテンを務める中で多文化な半面像に誇りを持って、黒人選手とプレーをし、彼らの家族と交遊を持っていた。その多くが良い友人となっていた。

混血の伝統を持つ選手が証拠に基づいて告訴され、有罪となってしまったことが我々には信じられない。Luis Suarezが特定されたそのやり方を我々は認めない。

それはFAが11月初めにLuis Suarezに事情徴収する前から彼を告発する決定をしたことを我々に示している。
審理の過程の中で我々が聴いたものの中に、Luis Suarezが告発に対して無実であるという我々の見解を変えるものは無く、我々はLuisに対して彼の汚名をそそぐに必要なものであればどんなサポートでもしていく。

また我々は、Patrice Evraが自身の調書の中でLuis Suarezをスペイン語の最も不愉快な言葉で侮辱したことを認めたことについて、FAがいつ告発するのかを知ることも望んでいる。
Luisは立派にも、実際に侮辱的発言を聞かなかったことをFAに伝えている。

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Suarezのツイート。
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今日は僕や家族にとってとても厳しく辛い日となりました。みんなのサポートには感謝しています。一生懸命努力し続けますよ！

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Liverpoolは抗議する構えを見せており、その結果処分が軽減されるのか否か、処分の執行時期がいつになるのかはまだハッキリしません。
Evra自身もスペイン語で言い返していたというのは知りませんでしたネ。

今回のFAのステートメントで一応の結末は迎えたものの、まだまだこの問題は尾を引きそうです。
ですがとにかく早く解決して改めるべきところは改め、再びフットボールに集中してもらいたいです。




そして今回の裁定、処分内容についてはあくまでも10月15日のEvraに対する人種差別発言だけのものであることを覚えておかなければなりません。
つまり、Fulham戦での中指事件についてはまだ裁定が下っていないということで、人種差別発言事件以上に明らかであるこの事件に対してもそのうち処分が下ることと思います。

今回の処分が8試合の出場停止に加え、40,000ポンドの罰金。
もう一方がどうなるのかは分かりませんが、規則E条3項1号違反であることは間違いなさそうで、さらなる処分がどの程度のものになるかは気になりますネ。

ちなみに昨シーズンRooneyがテレビカメラに向かって「F***」と叫んだ時は2試合の出場停止処分でした。
指と口の違いが争点となるでしょう(大嘘)